認知症の原因は脳の神経細胞の破壊
脳の神経細胞の損傷はどんな形で認知症の症状をもたらすのでしょうか。
脳には1000億個の神経細胞があり、その神経細胞に情報を運ぶ役割をしているのが神経伝達物質です。
認知症のなかで大きな比率を占めるアルツハイマー型認知症は、大脳皮質にある神経細胞が徐々に死滅し、脳が委縮していく病気です。
神経細胞が死滅することによって神経伝達物質も失われ、脳全体のネットワークが崩壊して脳の働きがストップします。そのため、様々な症状が現れるのです。
また、脳血管性病気で起こる認知症は、脳出血や脳梗塞で血管が破れたり、詰まったりして、神経細胞が破壊されることもあります。
アルツハイマー型認知症では、徐々に神経細胞が冒され、ゆっくりと進行してゆくため、ごく初期には老化による症状とほとんど区別がつきません。
初期の頃は物事を思い出したり考えたりする力が低下するため、人の名前や場所を忘れることが多くなりますが、言葉を発することはでき、ふつうに会話することもできます。
一方、脳血管性認知症は、脳出血や脳梗塞で傷ついた場所によって、その症状が違ってきます。
たとえば、言葉をつかさどる言語中枢が傷ついた場合は言語能力が障害され、言葉が出てこなかったり、会話の内容が理解できなかったりと、人とのコミュニケーションがうまくいかなくなることがあります。
このように、脳の中で起こるさまざまな障害によって、認知症の症状の現れ方や程度が違ってくるのです。
症状が似ていても、原因となる病気によって治療法も変わってきます。様子が変だと気づいたら、なるべく早く専門医を受診しましょう。